さらに民間の年金基金では全米最大規模といわれるAT&T社は、総資産の一二%、約三九億ドル(五○○○億円)を不動産に投資するなど、その動きは活発です。年金基金がこれだけ不動産投資に積極的な理由は、不動産市場が近年上向きに推移していることに加えて、年金投資のアドバイザー役、不動産投資顧問業者がかなり活発にビジネス展開していることがあげられます。全米不動産投資顧問業者の上位二五社で、およそ六四○億ドル(八兆三○○○億円)相当の運用を手掛けているといわれています。年金基金という巨大マネーをバックにした、完全な不動産投資のプロ達の寡占状態なのです。ひるがえって日本の年金基金の状況はどうでしょうか。日本の年金基金は約三八兆円の規模があり、そのうちの二割が不動産運用枠にあてられています。しかし、年金がいまだにこの枠を使って不動産投資に乗り出したという話は聞いたことがありません。おそらく実績はゼロに等しいでしょう。一方で、日本では郵便局の簡易保険が九二兆円とさらに巨額な存在ですが、不動産への投資は事実上認められていません。日本人はこれだけ不動産好きなのに、大切な年金のポートフォリオには見向きもしていないのが実情です。何とも異常としかいいようがありません。
民間の年金基金
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